国民が集まる広間。 人々がまだかまだかと待ちわびる中。 「梨乃さま、よろしいですか?」 「・・・はい」 レノンの優しい声に導かれ、梨乃は頷いた。 差し出された手に手を重ね、ゆっくりと続く階段を上る。 「梨乃さま、あなたは必ず僕が幸せにします」 「・・・はい」 目の前に広がる景色。 たくさんの人。 これが、自分が護るべき人たち。 梨乃は、一層強くそう思う。 人々の視線は自分たちに注がれ、その瞳は期待に輝いているように思えた。 想いを裏切らない。 ここで生きると決めた。