そう、思ってハッとした。 シドでないなら。 なんでそんな事を想うのだろう。 まるで、その相手がシドであったらよかったと願っているようだ。 まるで、シドの事が好きだと―――――。 「――――っ」 涙が、ツーッと一筋流れた。 梨乃にも意図しない涙で。 「梨乃?」 目を見張った国王が声をかけたことにより、自分が泣いていることに気づくほどだった。 「ごめんなさい、違うの・・・」 違う。 今更遅い。