「お、重い・・・」

「当たり前です。身を護る防具なのですから」




身動きがとりやすいようにクロウの馬に乗せてもらっている梨乃は全身に防具を身に纏い、頭にもすっぽりと顔を覆う面までつけられていた。
戦場の中に行くのだから、当然だとロイが用意したものだった。




「プリンセスが戦場になど、前代未聞です」

「わかっています。もし、説得が無理だと判断したらすぐに撤退します」




ロイは最後まで反対した。
戦場の厳しさをよく知っているロイだからこそ、そこに梨乃を連れて行くのは納得がいかなかった。


しかし、クロウと同じく梨乃の固い意志の前には成す術はなかった。




「わかってますね、プリンセスも。無茶だけは、しないでください」

「わかってる」




それでも、シドに会うためなら。
シドを説得して連れて帰る。


梨乃の心の中には、その想いだけだった。