「ヘルスター王国と、エスターン王国を繋ぐのは一本の道です。幅は1キロほどで長さは片道1時間ほどでしょうか」

「その道でしか行き来ができないってこと?」

「そうです」




落ち着いた時間を見つけ、梨乃はクロウにヘルスター王国の事を尋ねていた。
二つの大陸は、一本の道により繋がっている。
今回、その道からヘルスター王国の騎士たちが攻めてきたという。




「ヘルスター王国も、大きな国なんでしょう?これ以上大きくしたいから戦いになるの?」

「ヘルスター王国の国王であるダーク=ターナーという人物は、誰よりも高い地位と大きな権力、名誉、すべてのものをその手中に収めたいと考えているんです」

「誰よりも・・・」

「ターナー国王は、もともと王族の生まれではないんです」




少し考えながらも、そう話し続けたクロウ。
梨乃は黙ってその言葉を聞く。

部屋には、クロウの声だけが響きわたる。




「それが20年ほど前、ヘルスター王国で内部紛争が起こり乗っ取る形で国王の座についた方なんです」

「・・・っ」

「そうやって成り上がった国王であることを、彼は負い目に感じているようです」

「負い目・・・」