そして、グッと拳を握る。
少し思案し、意を決したように話す。




「あなたは、もう殺人兵器ではないんです」


その言葉に、シドが顔を上げる。
しかし、クロウは背を向けたまま、その表情はわからない。





「・・・私たちの大事な仲間ですからね」




クロウははっきりとそう告げると、歩みを進める。
残されたシドは、その背中を呆然と見つめる。




「・・・うっせぇよ。慰めてんじゃねぇよ。・・・バカ兄貴」




固く握りしめた拳。
過ぎる暗い過去を振り切るように頭を振ると、一度ゴシッと目元をぬぐい歩き出す。