「もう誰にも従わないと言っていたじゃないですか」

「・・・」

「ましてや、戦いの場に戻ってくるなんて。ここまで静かに見守ってきましたけど、まさか本気だったとは」

「黙れ」




投げかけられる言葉に、シドは眉を寄せる。
それでも、クロウの言葉は続いた。



「わかっているんですか。プリンセスに固執するのは勝手ですが。この場にいるということは、あなたは戦うことになるんです。今度は、エスターンの騎士として」

「うるせぇな!わかってんだよ、そんなこと!」




クロウの言葉を遮るように叫ぶ。
その声に、梨乃がビクッと体を震わせた。



「ン・・・?あれ?」




シドの腕の中で目を覚ました梨乃がきょとんと目を丸くする。
気まずげにシドが視線を移すと、シドに抱えられていることに気づいた梨乃が戸惑いに頬を染めた。



「えっ、な、なんで私・・・」

「まったく。バカですね、あなたは」



クロウが呆れたように肩を竦める。
シドは苦しげに表情を歪めた。