――透かし彫りの入った、男性用のデザインリング。
クリスマスプレゼントにしては大げさかなとも思ったけれど、私も心のどこかでずっと、このどっちつかずな関係から抜け出したいと思っていたのかもしれない。
リングをしばらく見つめ続け、そのまま箱の蓋を閉めた高宮くんは、箱を握り締めたままもう一度息を吐いた。
「……これは、ずるい」
「あはは、これでサプライズはおあいこってことで。ところで高宮サンタからプレゼントはないの?」
「……森川お前、今日俺がどれだけ金を払ってると……」
「お金かからないものでもいいよ?」
両手を広げて笑ってみせると、高宮くんも観念したように少し笑って、ゆっくりと私を抱き締めてきた。
そのまま一緒に、ベッドの上に倒れこむ。
「森川、」
「うん?」
「……一度しか言わないから、ちゃんと聞いとけよ」
やがて私の耳に寄せられた彼の口から聞こえてきた、ずっとずっと待っていたその言葉。
「……うん。私も、好き」
泣きながら、笑いながら。愛しい彼を精一杯抱き締め返して、私も応えた。
Happy Merry X'mas!
-END-


