朝。

昨日の生々しい夢のせいで物凄く憂鬱だ。

それに何故か頭が痛い。

(休みたい気持ちも山々だけど…ゆかこが今日一人ぼっちになるのは可哀想だし我慢しよう)

今日は1時間目から体育。

倉庫が視界に入るだけであのおぞましい夢を思い出してえづく。

気のせいだろうか?首が圧迫されている気がする。

(どうしよう。誰か...)

咳が止まらなくなった。声も出せない。

(なにこれ...)

皆は確かに私の今の現状を知っている。だって目が合うんだもの。それなのに。

誰も声すら掛けてきてはくれない。先生は...準備で忙しそうだ。

(ここの学園…皆どーなってんの…)


今、ようやく気づいたかもしれない。


いや、気ずくのが遅すぎた。


今まで自分の性格が駄目で皆と仲良くなれないとばかり思っていた。


でも本当は違うかったんだ。


本当にクズなのは…



こいつら全員だ。



私は子供の頃からおっちょこちょいな所もあり、よく転んだりケガしたりで酷い時は骨折もある。


そんな中誰1人心配なんてしてくれなかった。

(だめだ。もう…しぬ...)

そのとき。



「大丈夫?!」

ゆかこだ。

すぐに私のもとへ駆けつけて、すぐに背中をさすってくれた。

...

一気に血が通った。なんだか凄く温かい。

(助かった...)


と、思っていたが。


ゆかこは相変わらず力が凄い。

恐ろしい威力だ。

背中がゆかこの手の平と素早く擦りあって摩擦しているではないか。

よく見るとこの前と同様目が血走っている。

(はあ。前にもゆったのに…)

正直うんざりだ。だけど命の恩人にきれる程私は“恩知らず”ではない。

「もう大丈夫だよ!ありがとう!マット運ぼう?」


無視。

ずっと私の背中を素早いスピードでさすっている。

正直気味が悪い…。

「ねえ...ゆかこ!ねえ!ゆかこってば!」

「あ...ごめ...ん。」

「はあ。もういいよ。早く行かなきゃ先生に怒られるよ」

すぐゆかこの手を引っ張り、体育館へと行った。