「早く起きなさい。何時だとおもってるのっ」

その声にはっとして勢いよく起きた。チラッと横を見てみる。

「優、勝手に入らないでよ。いつも言ってるでしょ。」

「いいじゃんいいじゃん!杏里とは隣同士なんだから!ねっ?」

ニコッとしてきたのに私はプイッっと違う方を見た。私の名前は立花杏里。(たちばなあんり)

この結城優(ゆうきゆう)とは幼なじみで、家も隣同士で、ベランダから通れるのだ。

「隣同士だからってもうダメでしょ!もう高1だよっ?」

私の呆れ顔のまま立った時、優はこんな事を口にした。

「俺達は幼なじみだろっ?いいじゃねーか」

その笑顔には少し悲しげな表情が混じっていた。はぁっ

「まあ、学校行こっと。早く出てってくれないかなっ?」

首をかしげる優。はっ?

「着替えるから出てってよ!あんた変態なわけ?」

それを聞いた優は、ニコニコして、

「うんっ!ここにいるー。」

「あんたアホなの?出てってよ、ほらっ早く」

グイグイ押してやっと出た優。頬を膨らませてプーッとしている。私は

それをつんつんとつついた。その瞬間優の顔が赤くなった。んっ?

「どーしたのっ?熱でもあるっ?」

どーしたんだろう。今までこんなことはなかったはずっ。優、あれでも体弱いからな。

「べっべつになんでもねーよ、ご飯食べたら行くからな!待ってろよっ」

そう言って出ていった。なんだったんだろう。私は急いで着替えて1階へと降りた。

「やっと起きたのね杏里。何回も起こしても起きないから優くんを投入したのよー。
やっぱすごいわね。優くんパワー」

ゲホッゲホッっとなりながらゆ

「おっお母さんがあそこにいれたのっ!?何してんのよ、こんな思春期真っ只中の私に」

どうかしてるわ。ニコニコしてるし、お父さんも何ニヤついてんのよ!

その時、ピンポーンっと鳴った。もう来たの?はやっ

「王子様が来たわよ、早く行きなさいっ。」

「うっうるさい、お母さん二度とこんなことしないでよね!ちゃんと起きるから」

はいはいっと言ってニコニコを絶やさない。絶対に次も入れるなこりゃっ。

ため息をちきつつドアを開けた。

「おせーよバーカ」

「あんたが速いんでしょーがっ」

言い返して来ないのを不思議に思いチラッと見てみると顔がほんのり赤い。

「ちょっ優、顔赤いよ!ねっ熱でもあるんじゃ…」

「なっなんでもねーよ。こっちみんなバカ、行くぞっ」

スタスタっと歩き出す優。私も優の横に並んだ時、後ろからどけーっと叫びながら

自転車が走ってきた。振り向こうとした時、右の方に引き寄せられた。

「うおっ危ねっ。大丈夫か?怪我ないか?」

「う、うん大丈夫。ありがとっ」

優、見ないうちにこんなに大きくなったんだなっ。男の子っていう体になってる。

じぃーっと見ていた私は、ハッとしてめを逸らした。私、今ドキッてした!?いやいや

気のせいだ。

「何で俺を見つめてたんだっ?俺、そんなにかっこいいか」

ドヤドヤしすぎでしょ。どっからその自身くるのよっ。もうさっきの変な気持ちは

消えていて気にしないようにした。

「ねぇねぇ、こんにちわ!!星月ケ丘学園の人?だよね」

てっきり優に話しかけたのかと思ったけどつんつんっとつつかれた。

「わっ私!?」

「あたりまえでしょ!1年生だよね?」

ニコニコしてる彼女。かわいーなーって思っていると

「うわぁーっ隣にかっこいい人発見!!ねぇねぇ彼氏!?」

初対面なのによくしゃべるなこの人…目をキラキラさせながら聞いてくる。いや、

「ちがうし、優なんか彼氏とかありえない」

「えーっなんでそんな全否定…杏里ひでーよっー」

はぁっとため息ををつくと

「なっ名前で呼びあってる!!生で初めてみたぁー!!」

この子いちいちテンション高いなぁー。

「あっそーだった、自己紹介まだだよね。私は綾瀬美月!!よろしくね」

名前も少女漫画みたいな名前、かわいいなっ

「私は立花杏里。綾瀬さんよろしくね!」

同じクラスだったら楽しそーだなっ。

「俺俺!!俺はね結城優。この学校で一番かっこいい俺だ!!」

「自分で言うとか引くな!」

ツッコミを入れた時

「あははっ漫才師みたい!!でも結城くんならなれるよ!一番に」

「ありがとな綾瀬。じゃーな。」

「バイバイッ」

優に手を振りうとした時

「杏里もこっちくんだよ。一緒に登校したんだから教室までいくのっ」

「キッモー、なんで教室までー」

「キモイとは失礼だなっかっこいいと言いなさい」

はぁっ呆れるわ。張り出されている所までいくと優の名前も私の名前も。
そして綾瀬さんの名前もあった。

「あ、綾瀬の名前もあるな。やったな」

ニコニコしている優、はぁっこれだから

「わかったから、教室に行こ。」

少し驚き気味の優。私別に変なこと言ってないじゃん。

「あっ杏里が優しい。」

「私いつでも優しいでしょーがっ」

「んなことねーからいってんだろっ。いつもはさっさと行くのに。」

まあそうかもしれない。別に意識してたわけじゃないし。

「嫌なら先に行ってるね!!」

「ちょっちょいまて!ごめん、今のは俺が悪かった。なっ?すまん」

はぁっもうちょい、男らしくビシッとできないんだろーか。

「はぁっこれだから優は…」

後ろを向いて歩いていたため振り返った時、誰かとぶつかった。ドンッ

「いったー。あ、ごっごめんなさい。前ちゃんと見ていなくて…」

「大丈夫か?よく見ていなかった、ごめんな」

チラッと上を見てみる、ん?いっイケメン!やばいっ整った顔、低ボイス、高身長

「立てるか?ごめんな。」

少し眉を下げて申し訳なさそうに下を見下ろしている。その時

「こいつは大丈夫だ、頑丈だからな。だから俺にまかせろ!」

このイヤーな声は…はぁ癒し時間をどーしてくれんのよ。ギロっと睨むと優はビクッとした。

でも

「本当大丈夫だから、な?杏里。ほらっ大丈夫みたいだ」

はっ?まだ何も言ってないし。

「ねぇ、君名前なんて言うの?」

そんな優を無視して聞いてくる彼。

「わっ私は立花杏里です。今日から入る高1です。よろしくおねがいしましゅ」

やばいっ作文みたいになっちゃった…しかも噛んじゃった。は、はずかしい

「あははっしゅって…そ、そんなさ…くくっガチガチしないで?」

ちょー笑ってる…そんな笑わなくてもいいじゃんっ!

「俺は高2の黒崎雄大。よろしくな!!」

ニコッとしてくる黒崎先輩。いい人だなぁ、緊張をほぐしてくれる。」

「は、はい!先輩のような人に出会えてよかったです」

「なんか別れ見たいな言い方だね」

クスクス笑う先輩。笑う顔も様になってる。よく笑う人だなぁ…それにしても

「さっきから笑うなんてひどいじゃないですか!真面目にいってるのに」

「だ、だってよ、君みたいな子初めてだし、先輩って響きも悪くないっ」

ドキッ。何この反則の笑顔、こんなんじゃ女子イチコロじゃん。

「あのー、楽しいところすんませーん。早く教室行きたいんですが…」

優が口を挟んだ。まあ時間も時間だし、

「それじゃ先輩、また」

「おう、先輩がおじゃましましたー。」

爆笑しまくってるじゃん、変な人。って、言いながら目はずっと彼に向いている。

その時、チラッとこっちに振り返って「早く入れよ」っと言ってニコッと笑った。

私は、この時は先輩に恋してたんだ。でも、今の私には分からなかった。