「美穂、宿題写させてよ!」



「え~? 亜紀ってば、またなの?」



中学の頃からの女友達である山野亜紀は、いつも勉強をおろそかにしがちだ。


彼女はそんな私の反応を見て、両手を合わせて必死に懇願する。



「だって妹たちの面倒見なきゃで忙しいのよ・・・私だって好きでしてこないわけじゃ・・・」



「わかってるわかってる。ごめん、もう意地悪しないから」



「ありがと~」



・・・まあ、彼女だって勉強が嫌いでしないわけでもない。


むしろ、彼女は勉強を好きな部類に入る方だと私は思う。



「・・・ねえ、亜紀・・・」



「ん?」



私が名前を呼ぶと、彼女は宿題を写しながら返答してくる。



「・・・もしさ、昔好きだった人が目の前に現れたら、どうする?」



「なに? 今の彼氏じゃもう嫌だってこと?」



「そういうんじゃないけど・・・」