瑞希は頷くと2人に1枚の紙を渡した。
「その新しく入る子の履歴書。見ておいてね~。
…あ。個人情報がどうって最近厳しいから、このことは内緒よ?」
「ありがとうございます、瑞希さん。」
紗羅は紙を受け取り、美那は瑞希にお礼を言った。
しかし紗羅はその紙を見て目を見開いただけで、瑞希にお礼を言うこともなかった。
瑞希が2人のそばを離れてもそれは変わらなかった。
「…どうしたの?紗羅?」
「え?…あ、いや。」
紗羅は首を振ると美那に紙を渡した。
美那は不思議に思って首を傾げながら紙に目をやり、紗羅と同じように目を見開いた。
そこに貼られた写真に映っていたのは、大きな目と黒い髪が印象にピッタリあった人だった。
「ええええええ!!新しいメンバーって男子なの!?」
「び、ビックリだよね…」
写真に映った男の子は笑って少し首を傾げているように見えた。
「え、めっちゃかっこいいよ!ねえ、さ…どうしたの?」
紗羅はまだ驚いたようにその写真を凝視している。
美那も新メンバーが男の子だったことに驚きはしたが、紗羅ほどではなかった。
「…この人…………」
「ん~?えーと、多田 晴樹君?」
美那は紗羅のその表情を見て首を傾げた。
「…もしかして、知り合い?」
美那のその言葉に、紗羅はこくんと頷いた。
「お、幼馴染みなの……」

