「おやー?正樹君どうしたのかなぁ?」




2人がその声に振り向くとニヤニヤ笑う仁がいた。



その横には瑞希や春樹や美那もいる。




「何もありませんよ、先輩。」




「嘘つけ。見ちゃったもんねぇ、沙羅の腕掴んでるとこ。」




「まぁまぁ。停電があったんだから仕方ないんじゃない?」




何かを企むように笑った仁の横で瑞希が少し笑った。




「沙羅。あなたと、春樹と美那に話があるの。」




「なんですか?」




沙羅の言葉に春樹と美那も瑞希を見た。




「このドラマと同じテレビ局で、毎週やってる有名な音楽番組があるのよ。」




その番組のことなら沙羅達はもちろん知っていた。



元のStarlightの時に3人で出演したこともあるし、分裂してからも何度か呼ばれたことがある。




「その番組で、ドラマ公開の宣伝を兼ねて1度だけStarlightを再結成してもらいたいの。」




一瞬、その場の空気に緊張が走った。




「再結成?」




このことを聞いたのは春樹と美那も初めてだったようで、沙羅と3人で驚いて目を見開いた。




「迷惑をかけるんだって、分かってるのよ。だけどちょっと考えてみてくれない?」




「え、っと………」




沙羅はそう呟いて春樹と美那を見た。



2人はお互いに顔を見合わせ、それから沙羅を見た。




「こっちは構わないけど、沙羅にとっては……」




もちろん沙羅にとってはそんなに簡単な話ではなかった。




Starlightは沙羅にとって元いた場所で、今は失ったもの




それが今更戻ってくると言われてもそれは一時的で、戸惑いを覚えないわけがなかった。




「うん、でも、大丈夫。一度でもいいのならやります。」




みんなの驚いた顔を見て、沙羅は曖昧なことを言ってしまったと思った。