「で、先輩じゃないけど、どうだった?ドラマ。」




「楽しかったよ!」




ふと美那と目が合い、沙羅は笑顔で手を振った。



美那もなんの迷いもなく手を振り返している。




「……もう、なんの心配もいらないみたいだね。」




正樹のそんな言葉に、沙羅は正樹を見た。



その声の響きが少し寂しく聞こえた気がした。




「そんなこと、ないの。やっぱり元の通りとはいかないんだ。」




「そりゃあね。5年も空白があったんだから、こればかりはゆっくり埋めていくしかない。」




正樹がそう言って少し笑って見せたとき、突然電気が消えてみんな驚いて顔を上げた。




「え?何?」




何も見えなくなり、沙羅は慌てて手を伸ばした。




「マサさん、どこ……?」




その言葉が終わらない内に沙羅は誰かに腕を掴まれたのを感じた。




「大丈夫だよ、沙羅。」




正樹の優しいこ声が聞こえて沙羅は胸を撫で下ろした。



みんな急に電気が消えたことにざわざわと騒ぎ出した。




「何、停電?」




「システム障害かなんかでしょ?」




目が慣れてきたのか周りの景色が少しずつ見え始めたとき、また急に電気がついて沙羅は眩しさに目を細めた。




「すいません!システム障害です!」




1人のスタッフの声にまた辺りがざわめき始め、沙羅はため息をついた。




「大したことじゃなかったみたいですね。良かった。」




正樹はその声と同時に沙羅の腕を離し、恥ずかしそうに頭をかいた。




「ごめん。だいぶ強く掴んじゃったみたい。」