その表情があまりにも穏やかで、美那はすぐに目を逸らした。
「昔から、あなた達2人はずっと沙羅のことを支えてたから。
どうして赤の他人にそんなことができるのかなって。」
支えるべき同じグループだった自分は、それどころかずっと辛くあたっていた。
どうしてそんな風に沙羅と接することが出来るのか、ずっと2人に聞きたいと思っていた。
「俺達、沙羅のこと妹みたいなものだと思ってるから。」
仁はそう言ってニッと子供っぽく笑った。
「妹?」
「うん。」
仁はどこか嬉しそうに頷いた。
その視線は美那から撮影中の沙羅と春樹に移った。
今は再結成してからコンサートのことを話し合う2人の場面で、美那が登場するのはもう少し後だった。
撮影だから、沙羅と春樹の今の行動は全て演技だ。
しかし2人が笑顔で話しているのを見て、美那は少し胸がチクッとするの感じた。
「沙羅は放っておけないところがあるだろ?
悩んでるくせに自分で抱え込むし、強がってるくせに泣き虫だし。」
仁は少しため息をついた。
「正樹君、知ってるだろ?」
仁の言葉に美那は頷いた。

