5年ぶりに再開した3人は5年前のことを反省し、また仲良くなる。
そして仕事場で会ったり話したりする内にまた3人でグループをやり直すという夢を抱く。
考えが一致した3人は本格的に元のStarlightとしても活動を再開し、再結成のコンサートを開催する。
そこまでがこのドラマの台本だった。
「こんなことって本当にあるのかなぁ」
「実際にはあり得ないでしょ。」
美那の独り言に答えたのは仁だった。
美那は撮影の順番を1人で待っていただけだったから、突然背後から聞こえた声に驚いて思わず立ち上がった。
「あ、わ、沙羅と仲良い記者さん……」
「あ、そっか。君と話すのは初めてか。」
仁はニコッと笑ってみせると美那に持っていたスーパーの袋を渡した。
「はい、差し入れ。」
「あ、ありがとうございます……」
美那は読んでいた台本を隣に置き、その袋を受け取った。
「これだけ持ってきたんだから、関係者以外立ち入り禁止のところに入ったことは内緒だぜ?」
袋の中身は多くのドライアイスに囲まれたアイスだった。
「外で撮影してると思ってアイスにしたんだけど、室内だったか。
まあ3時間はもつようにドライアイス入れてもらったから、後でみんなで分けて。」
仁はまた座り直した美那の隣に座って汗を拭いた。
撮影は進んで、もう世間は夏も半ばになっていた。
しかしドラマの設定上はまだ春で、夜以外の撮影はほとんどが室内だ。
元々このドラマは外よりも室内の方が撮影の頻度は高かった。
「……どうして、そんなに沙羅のことを気にかけるんですか?」
「ん?」
仁は首を傾げて美那を見た。

