「美那!!」
美那が沙羅に何かするんじゃないかと思った晴樹は慌てて美那の腕を掴む。
しかしそれは沙羅と机を挟んですぐのところで、手を伸ばせば沙羅に届いた。
「何で!?リーダーも、ソロも、何でみんな沙羅なの!?
何であたしはいつもあんたの後ろで背中を見続けなくちゃならないの!?」
沙羅は目を見開いてそれを見ているしかなかった。
「美那!落ち着けよ!!」
晴樹はそれ以上美那を進ませないように踏ん張っていた。
「嫌よ!そんなの不公平じゃない!!
もちろんアルバムに取り入れるのなんかおかしいわよ!
私達に聞く前に分からなかったの!?
そんなこと聞く方がおかしいじゃない!」
美那の目がこれでもかというほど大きくなった。
そして美那は、ただ呆然とする沙羅にチームとして決して言ってはいけないことを口にした。
「あんたなんかリーダーも勤まってないのに!!
失敗ばっかりして、いつも心に余裕がなくて、晴樹だってその内うんざりするわ!
あんたなんかただ……!!」
沙羅の中で、何かがプツンと音をたてて切れた気がした。
それはこの1年間ずっと張り詰めてきた糸で
美那が自分のことをどう思っていたのか知った途端、切れるのは仕方のないことだった。
〝あんたなんかただ、目障りなだけじゃない!!〟
「美那!!」
晴樹が信じられないというように目を見開いた。
「沙羅に謝れよ!!沙羅はな、リーダーSaraとしてこの1年間……」
「…晴樹、もういい。」
沙羅は立ち上がった。
「………っ!沙羅?気にするなよ。美那は今興奮してるだ…け……」

