仲間ってなんだろう


「ごめんね!仕事終わりでゆっくりしたかったはずなのに…」




「気にしないで下さい!話聞いてもらえてだいぶ楽になったから。」




「あ!じゃあ…」




正樹は鞄を持った沙羅を見て笑って見せた。




「時間ある時でいいから、いつでも僕達の芸能部に来て悩みを話してくれよ。

Starlightの不利になるようなことは一切記事にしないって約束するから。」




「どうしてそこまでしてくれるんですか?」




沙羅が不思議そうに首をかしげた。




「スクープが出た方があなた達にもいいはずなのに。」




「うーん。そこが僕達のかわったところなんだよなぁ。」




正樹はポリポリと頭をかいた。




「今記事の編成の主権は先輩だけど、あの人芸能人の不利になるようなことは一切記事にしないんだよ。

周りから見たら理解できないと思うけど、僕はなんとなく分かる気がする。」




正樹が笑うとそれにつられて沙羅も笑顔になった。




「…分かります。あの佐野さんって人、優しそう。」




「そうそう!ちょっと子供っぽいところを抜いたら完璧な人だよ。」




この人達なら信用できる、と沙羅はなぜかそう思った。




正樹が元々こちらの世界にいたからなのか、2人には記事より配慮を優先する気持ちの余裕がある。




「分かりました!時間が空いたら、顔出しますね!愚痴聞いて下さい。」




「もちろん!その愚痴の中から出来そうなもの拾って記事にさせてもらうから、お互い様ってことで!」




沙羅は嬉しそうに頷いて校舎に向かって走って行った。



正樹はしばらく手を振っていたがそれを見てため息をついた。




「よく隠してるなぁ。辛いだろうに…」