「…良かったんですか?先輩なんでしょ?」
「全然大丈夫。あの人といると反対に仕事しにくいから。」
正樹は紗羅の取材を始める前、仁を強引に車に詰め込んで帰らせてしまった。
「先輩、熱心な人ではあるんだけどどうも空回りするところがあって…困ってるんだよ。」
正樹はハハハと笑った。
2人が来たのは学校のカフェテラスだった。
「学校の中入っちゃっていいんですか…?」
「いいのいいの。僕はここの卒業生だから。」
「卒業生?」
座ってすぐ、正樹はその質問に笑顔で頷いた。
「…昔はモデルを目指しててね。実際活動もしてたんだけど今は芸能部の記者をやってる。…それよりさ!」
正樹は話を誤魔化すようにポン!っと手を叩いた。
「いつもこんなに学校着くの早いの?まだ7時半だよ?」
「いつもってほど学校に来てないんですけどね。今日は朝から撮影があったので…」
その言葉に正樹は驚きを隠せないようだった。
「大変だね……。僕達ね、君達がデビューしてすぐから追いかけてたんだけど、1つ気になることがあってね。」
正樹はじっと紗羅を見た。
「もうデビューからだいぶ経つけど…この頃メンバー同士うまくいってる?」
その言葉に沙羅は目を見開いた。
ここで下手なことを言うわけにはいかない。
「え、えーと……」

