彼女の祖母が何かを始めた。
かすむボクの目には何をしてるのか分からなかった。
耳元で何かを繰り返し唱えられたが、ひどい耳鳴りがして聞き取れない。
苦しい、息が詰まる、やめて、もう顔が見えないままでいい!
そう願った時にうなり声がした。
「わ、わたしの・・・わたしのかお」
さっきまで、何も聞こえなかったのに、声が聞こえる。その声は彼女でも彼女の祖母の声でもなかった。
一体、誰なんだ?
「わたしのかお・・・かえして!」
顔を返して?どういう事だ?
悲鳴のような叫び声にボクは意識を失った。
目を覚ますと彼女と彼女の祖母ともう1人別の女性がいた。女性は、2人に何度も頭を下げていた。
顔を上げると女性の顔が見えた。ちゃんと顔が見える。その人と会った事がある気もするが、そんな事より普通に顔が見えるようになった事が嬉しかった。
「憑りつかれてたんだよ。」
彼女の祖母が話し始めた。
彼女の家系は霊的なものが見える家系で、彼女の祖母は表向きは占いを商売としてるが、裏ではお祓いなど一般の人が見えないモノを取り扱ってるらしい。
顔が見えなくなった原因は憑りつかれたせいで、彼女と彼女の祖母だけが見えたのは家系の持つ力によるものだった。
意識を取り戻したボクに彼女が気づいた。
その瞬間、彼女は驚き、祖母に助けを求めるかのように後ずさりをした。
どうしたんだろう?
立ち上がり、彼女の側に近づこうとした時、壁に飾られた鏡にボクが写しだされた。
「うわぁぁぁぁ!」
鏡に写るボクは顔がなかった。
叫びながらボクはその店を飛び出した。
外に出るとすれ違う人、みんな顔があった。嬉しそうに微笑む人、怒りに苛立つ人、悲しそうに憂う人、希望に満ち溢れた目を輝かせる人。みんなそれぞれの顔がある。
ショーウインドーに写るボクだけが顔がない。
そうか、ボクは憑りつかれたんじゃない憑りついていたんだ。
思い出した、ボクは・・・
「おばあちゃん、今の何?」呆然とする孫娘。
「安心しな、あんたに憑りついてたものは出て行ったよ。憑りついてたのはコイツさ。」
そういうと憑りつかれていた女性と孫娘に先ほどの紙を見せた。
「しめすへんに冬・・・?」
孫娘の言葉に首を横にふる祖母。
「こいつに憑りつかれると周りが見えなくなって、どんどん孤独にさせられるんだよ。」
そう言いながら、紙の余白にペンでゆっくりと文字を書いた。
『 ネ ・ タ ・ ミ 』
かすむボクの目には何をしてるのか分からなかった。
耳元で何かを繰り返し唱えられたが、ひどい耳鳴りがして聞き取れない。
苦しい、息が詰まる、やめて、もう顔が見えないままでいい!
そう願った時にうなり声がした。
「わ、わたしの・・・わたしのかお」
さっきまで、何も聞こえなかったのに、声が聞こえる。その声は彼女でも彼女の祖母の声でもなかった。
一体、誰なんだ?
「わたしのかお・・・かえして!」
顔を返して?どういう事だ?
悲鳴のような叫び声にボクは意識を失った。
目を覚ますと彼女と彼女の祖母ともう1人別の女性がいた。女性は、2人に何度も頭を下げていた。
顔を上げると女性の顔が見えた。ちゃんと顔が見える。その人と会った事がある気もするが、そんな事より普通に顔が見えるようになった事が嬉しかった。
「憑りつかれてたんだよ。」
彼女の祖母が話し始めた。
彼女の家系は霊的なものが見える家系で、彼女の祖母は表向きは占いを商売としてるが、裏ではお祓いなど一般の人が見えないモノを取り扱ってるらしい。
顔が見えなくなった原因は憑りつかれたせいで、彼女と彼女の祖母だけが見えたのは家系の持つ力によるものだった。
意識を取り戻したボクに彼女が気づいた。
その瞬間、彼女は驚き、祖母に助けを求めるかのように後ずさりをした。
どうしたんだろう?
立ち上がり、彼女の側に近づこうとした時、壁に飾られた鏡にボクが写しだされた。
「うわぁぁぁぁ!」
鏡に写るボクは顔がなかった。
叫びながらボクはその店を飛び出した。
外に出るとすれ違う人、みんな顔があった。嬉しそうに微笑む人、怒りに苛立つ人、悲しそうに憂う人、希望に満ち溢れた目を輝かせる人。みんなそれぞれの顔がある。
ショーウインドーに写るボクだけが顔がない。
そうか、ボクは憑りつかれたんじゃない憑りついていたんだ。
思い出した、ボクは・・・
「おばあちゃん、今の何?」呆然とする孫娘。
「安心しな、あんたに憑りついてたものは出て行ったよ。憑りついてたのはコイツさ。」
そういうと憑りつかれていた女性と孫娘に先ほどの紙を見せた。
「しめすへんに冬・・・?」
孫娘の言葉に首を横にふる祖母。
「こいつに憑りつかれると周りが見えなくなって、どんどん孤独にさせられるんだよ。」
そう言いながら、紙の余白にペンでゆっくりと文字を書いた。
『 ネ ・ タ ・ ミ 』
