『嘘なんだ。』

? 嘘なんだ?

抱きしめられてよく見えない翔平の顔を見上げる。


『彼女、いないよ。梨恵のこと、手に入れたくて、騙した。ごめん。』

騙した?彼女いない?

翔平が泣きそうな顔してる。

『誰に?誰に彼女いないの?誰が誰を騙したの?』

頭が追い付いていかなくて質問ばかりになってしまう。期待してしまうような、混乱。


『俺に、彼女がいないの。俺が、梨恵を騙したの。ちなみに俺がずっと梨恵のこと好きなのは本当。』

頭がまとまらない。けど、一番気になることは


『私のこと、好き?』

じっと翔平の顔をみつめる


『大好き。愛してる。梨恵のことがあまりにも好きすぎて、自分のものにしたくて、毎日言っちゃうぐらい好き。』

ようやく、真剣な顔で言ってくれた。


『私も。好き。』


『ようやく、手に入れた。』

そう言って力を込めた翔平の腕が強すぎて、首は上げられなくて顔は見えなくなったけど、たぶん笑顔なんだろうな。


『梨恵、これからも毎日好きって言うから。まずはこれから俺の家で月曜の朝まで愛しあうぞ。』

NOの返事なんて最初からないって決まってる。

『りょーかい』

今から月曜の朝まで、私の身体はどうなってしまうのかわからないけど、3年分の愛を伝えあうには2日間なんてあっという間で足りないんだろう。
今から長い時間をかけてふたりで確認しあうんだ。


今までたくさんもらった分、これからは私からの「好き」も受け取ってもらわなくては。