七瀬side


夢の中。
大好きな人が目の前にいて、私を呼んでいる。

私が近づこうとするとだんだん遠ざかっていってしまう。

「待って!!」

そう叫ぶと、君は私に手を差し伸べてきた。お互いの手を取り合い、手を繋ぎ歩いている。

この幸せな夢が、現実ならいいのに。


夢から覚めそうになったとき、唇に柔らかな感触がした。


「1回だけだから…」

聞き覚えのある声がした気がした。


「キスされた…?」

1人教室に残された私は、ただ呆然としていた。