「ちょっと、神楽和香いる?」

「大宮智美も。」

とうとう悪魔2人が教室に来てしまった。珍しく2人ともイライラした口調だった。

『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

黄色い歓声をものともせず、遠慮なく教室に入ってくると、

「「ちょっと、来て。」」

智美と私は別々の方向に連れて行かれてしまった。

「ねぇっ!!麗っっっ!」

呼びかけても反応なし。これは相当怒ってる。

「痛いってばっっっ!!!」

連れて来られたのは案の定、温室。

「痛いっっ……っきゃっ!?」

ベットに乱暴に倒される。
その上から麗が覆いかぶさる。

「…麗!?!?」

長い前髪から覗く瞳には、苛立ちが伺われた。
私の両手は片手で抑えられ、もう一方の片手で私のブラウスのボタンを外していく。

「ちょっと!!やめてってば…っ!!」

危険を感じ、麗のみぞおちに膝をヒットさせる。

「…………っっつ。」

拘束が緩んだ瞬間、麗を押しのける。

「やめてって言ってるでしょ!?!?」

「…なんで、俺を避けるの…?」

さっきとは打って変わって、子犬のようなウルウルした目で聞いてくる。

「なんも心当たりないの…?」

「…うん。」

「KAORUって人と幼なじみとか恋人だったとか聞いてないし、屋上でずっと待ってたんだけど!?ふざけないでよ。」

「…。」

「なに、ハグとかしちゃってんの?元カノと。ほんと最低なんだけど。」

「あれは、他の2人だって。」

「言い訳なんて聞きたくないっっ!」

涙で視界がぼやける。

「もう…もういい。しばらく距離置こう。」

「ほんきかよ…。」

「さよーーーならっっっ!!」