屋上につくと、壁によっかかって寝ている和香がいた。

しばらくじーっと見つめていると

「…ん。おわっ!?!?」

「おはよ。」

「麗さんか、びっくりした。」

「ね、その麗さんってやめよ。麗にして?」

「れ、麗。」

照れながら言う萌香が可愛いすぎてキスをしてしまう。

「…ちょ!麗!」

「黙って…。」

「…っ…麗!」

「うるさい…。」

長くて甘いキスをしていると。

ガチャっ

「あれ開いてる?おーい、麗いるか…って。」

キスをしながら視線だけ向けると、立ち尽くしている日向がいた。

「あ…ごめんな!ごめん。」

そーゆーと日向は走って行く。

「やっべ。ごめん、和香。」

「うん。私も行こうか?」

男だけで話したいからと言って和香を置いていく。

「ちょっと待って!日向!」

足が早い日向はどんどん遠ざかって行く。でもちゃんと日向と話さないとだめだから

「…日向っ!!!」

頑張って追いついて日向の手を掴む。

「な、なんだよ麗。…良かったなぐらと上手くいって!」

「こっち向けよ!」

ぐっと肩を掴むと、日向の目には涙が溜まっていた。

「…日向。」

「オレ、かっこわりぃよな。こんなんで泣いちまうとか。」

「日向がこの1ヶ月、和香に会いに行ってるの知ってた。オレとあいつの気持ちに気づかせるためだろ?」

「違う!オレはただ単にぐらが好きだったんだ!!」

「じゃあなんで遊園地に呼び出したんだ?」

あの日、遊園地にいたのは日向がメールをくれたから。

「あの時気づいたんだ。お前とあいつが観覧車から降りてくる時どうしようもなく嫉妬してた。だけど。」

観覧車から降りてきた日向はオレにぐらとは何もない。あいつはお前を好きだ。と言ってきた。

「…見てて苦しかったんだよ。麗もぐらも自分の気持ちに気づいてなくて最初で最後のチャンスだと思った。けど、ぐらは上の空でオレにちっとも関心を示さなかった。もどかしいじゃんか。」

「日向…。」

「お前とぐらが上手くいけば幸せだと思った。でもやっぱちょっと辛いな…。」

へへっと照れくさそうに言う。

「別にオレのこと気にしなくていいからな?でもぐらを和香を泣かせた時は容赦しないからな!!」

肩をポンッと叩くと歩いていく。

「日向っっっ!!ありがとな!!!!」

日向は振り返らずに片手を上げて、ヒラヒラと振った。