そこにいたのは

「…麗さん…。」

「じゃあオレは帰るね。あとは2人で楽しんでな!!」

「ちょっと!歌川先輩!!」

歌川先輩は麗さんに駆け寄ると、なにやら耳元で一言言って帰って行った。

「神楽…。」

ツカツカとこっちに歩いてくる。
一ヶ月ぶりに見た麗さんは、全然変わってなくて少し髪が伸びたくらい。私服もオシャレだ。

「…なんでここにいるんですか…。」

「…。」

「大体、姿現すなって言ったのそっちじゃないですか。なのになんで自分から現れるんですか!?」

私が今までどんな思いで一ヶ月過ごしたか分かるはずない。

「きょ、今日だって歌川先輩と楽しく過ごしてたのに!!!!なんで…っ!!」

その瞬間

「……ん…っ!?!?」

私はキスをされていた。

「…や…やめてくださいっっっ!!」

バシッっと右頬を叩く。

「私の気持ちなんかお構いなしで、期待させて。ほんと、さいて「ごめん。」

麗さんの顔を見ると、今にも苦しそうに眉を歪めている。

「オレ、あんたに怖がってるだけだって言われて確かにその通りだと思った。もう1回、母親みたいに裏切られるのが怖かった。だから神楽の事も避けたかったんだ。」

『神楽のことが好きだから。』

驚いてパッと上を見ると、その綺麗な瞳で私を見つめている。

「泣いたり、笑ったり怒ったり。目が離せなくなってたんだ、ずっと。でも、もう遅いよな。自分勝手だと思う。だけど…」

ギュッっと私を抱きしめて

「オレ以外見るな…。」

「麗さん……。」

「神楽がオレ以外の男と楽しそうにしてるって考えるだけで、おかしくなりそうなんだ。」

私は思わず涙が出そうになる。
そっか…。私も麗さんがずっとずっと好きだったんだ…。

「…私もずっと好きでしたよ。普段クールでもちゃんと人の事見てて、優しくて。」

「…グスっ。」

「え!?麗さん泣いてるんですか?」

顔を見ようとすると更に強く抱きしめられる。

「…ごめん。もう少しだけ。」

いつまでそうしてだだろうか。
落ち着いたのか、私から体を離すと

「もう1回観覧車乗らない?」

私は頷くと観覧車のほうに目を向けた。

「あれ!?」

そこには手を繋いだ智美と目黒先輩がニヤニヤしながら立っていた。

「かぐちゃーん!おめでと!」

「麗!良かったな!」

私と麗さんは同じように驚いた顔をしてたらしく

「私達付き合うことになりましたー!」

「「えぇ!?」」

どうやら目黒先輩が智美に猛アタックしたらしく、そんな先輩に智美も惹かれていったらしい。

その後4人で観覧車に乗って、その場で解散になった。
私は麗さんと智美は目黒先輩に送ってもらうことに。

「和成、神楽の友達に本気で初めて惚れてたから良かった…。」

「私も智美が幸せになってくれて良かったです。」

「あのさ、オレの母親の話聞いてくれる?」

そう言って麗さんはポツリポツリと話始めた。