「…香野…麗。」

食堂で騒がられてた張本人がなんで、屋上にいるの。てか、合鍵私しか持ってないはずなのに。

それは相手も思ったらしく。

「…なんで屋上入れんの。」

ぼそっと独り言のように言った。

まじまじ見てみると、確かに香野麗が人気なのが納得できる。
長い前髪に隠れた大きい二重の瞳が見え隠れしている。そして薄い栗色の髪が太陽に照らされて輝いている。

「あんま…見ないでくれる…?」

「あ、すいません。」

再び訪れる沈黙。
仕方ないからさっき買った焼きそばパンを食べていたら、視線を感じた。

「な、なんですか。」

「…オレ、女嫌い。」

「……ゲイですか!!?」

シーン…

あ、しまった。いつも智美に考えてから口にしろって言われてんだった。

「ふ……はははは!!オレがゲイって!!ははは!!」

え、あの香野麗が笑ってる?てかなんでいきなり女嫌い発言?

「あんた、面白い。屋上譲ってあげる。」

「は、はぁ…。ありがとう…ございます?」

すると香野麗は私の上履きを見て

「1年。オレの2つ下か…。」

そう呟くと屋上から出ていった。

「…なんだったんだ?」

疑問に思いながらも残ってる焼きそばパンを頬張った。