かぐちゃんが先輩達に呼び出されて、もう20分が経ってしまった。

「遅いよ…かぐちゃん。」

まさか、まさかとは思うけどしめられてるのかな…。
そういえば、お兄ちゃんちゃんが言ってた。

『良いか?トモ。体育館裏には行っちゃいけないからな。』

お兄ちゃんいわく、不良のたまり場らしい。どうしよう。私1人で行っても助けられない…。

「あ…。香野先輩がいた。」

最近かぐちゃんが話すようになった香野先輩。多分先輩達が呼び出した理由にも関係してるはず!

「えっと…確か。3年10組だったはず。」

急いで教室に向かうと、香野先輩はいたけど、女子に囲まれてる。

「(…どうしよう…!)」

その中で1人だけ目があった人物。

「目黒くん。ちょっといい?」

咄嗟に口から出てしまった言葉。

「(先輩に向かってタメ口きいちゃったよ…!!)」

それでも快く来てくれた。
とりあえず、体育館裏に連れていくと案の定、かぐちゃんがいじめられていた。

そんなかぐちゃんを救ってくれた時、ほんとのヒーローに見えた。のに…。

「ねー、授業サボらない?」

「嫌です。かぐちゃんの分のノート取らないと。」

さっきからこの調子で、一向に返してくれる気がしない。

「和香ちゃんの友達でしょ?助けたお礼としてさ。」

「ふざけないで下さい。先輩猫かぶり過ぎです。普段。」

「そんなことないよ?智美ちゃんが可愛いからいけない。」

とか言って1人でウンウン頷いている。

「かぐちゃんが心配なので…!!」

「それなら、麗に頼んでおいたから今頃温室にいるんじゃないかな?」

「…温室?変なことしてないでしょうね!!!!?」

「だーいじょーぶ。麗は弱ってる人にそんなことしないよ。」

「なら、いいんですけど。…もう、帰って良いですか!?」

「仕方ないね。また会おーね。」

そしておデコキスをして帰っていった。

「~~~~~~~~っ!?!?!?」

最低。ケダモノよケダモノ!

キーンコーンカーンコーン…
予鈴が鳴る
「!!急がなくちゃ!!!」