「どうしたの?」
「…何でそんな事を聞く」
「…何となく、蓮さん困った顔してるから」
蓮さんが戸惑ってるような、何か言いたそうな顔、してたから……。
「…あぁ、鋭いなお前。そうだな、…夢月、嫌な夢でも見たのか?」
その唐突の質問に、あたしは目を見開いて蓮さんを見つめた。
「…どうして?」
どうして、分かったんだろう……。あたし、パパとママの夢を見てた。
時々、見てはあたしに絶望だけを残す悲しい夢。白血病って分かってから、見る頻度も増えた。
「……泣いてた」
「……えっ…?」
あたしの頬に触れている蓮さんの手に、自分の手を重ねる。
「…泣いてた…?」
確かに涙の跡がある。その部分の肌がカピカピしていた。
今は乾いている。多分、蓮さんが拭ってくれたから…。
「…たまに、見る夢が…」
今までなら、誰にも話そうとは思わなかった夢の話。豊さんや喜一お兄ちゃんにも話した事ないのに……。
「……やっぱり恐い夢か?」
「すごく…幸せで、残酷な夢だったよ…」
本当に幸せで…悲しい夢だった。
夢は、叶わない願いを形にしてくれはするけど、目が覚めると、2度と手に届かないモノだという現実に絶望する。


