「あの日、大切な人を失ったあの日、あたしには、また大切な家族が出来た。あの時、すごく嬉しくて、本当感謝でいっぱいだった」


ずっと伝えられなかった。

あたしの、本当の気持ち。もっと早く向き合って、気持ちを伝え合うべきだった。


「あたしの家族になってくれてありがとう。愛してくれてありがとうっ…」


ポロポロと涙が出る。


「夢月っ……」

「夢月ちゃん、そうか、そうかっ……」



喜一お兄ちゃんと豊さんが涙を浮かべながら優しい瞳であたしを見つめる。


こんな、温かい気持ちで家族に向き合えたのは、きっと…。


「蓮……蓮は、あたしの心を変えてくれた」

「夢月……それは、俺もだ。夢月が、俺を変えてくれた」


そして、お互いに笑い合う。


「俺には、夢月が必要です。夢月を、俺に下さい。必ず、幸せにします」

「あたしにも、蓮は必要なんだ。蓮と、ずっとずっと一緒に生きていきたい」


あたし達の言葉に、豊さんと喜一お兄ちゃんは顔を見合わせた。そして…。