「……お前ら馬鹿だな」


疲れ果てて倒れている皆を蓮さんは呆れ顔で見ていた。


「総長〜それはないっすよ…」


タケさんは落ち込んだ顔をしていた。蓮さん…容赦ないんだな…。


「…そろそろ帰る」


蓮さんはあたしに目配せをした。


これは…行くぞって事だよね。

歩き出してしまう蓮さんに駆け寄った。


「お疲れ様っした!!」


来た時みたいに皆が頭を下げる。


いつ見てもなれないなぁ…。


「夢月さーん!!また来て下さーい!!」


名前を呼ばれて振り返ると、狼牙の人達が手を振っていた。


「……っ…はい!!」


また来てくれ…なんて…なんか嬉しいな。あたしも仲間だって思ってくれたみたいで…。



「…夢月……行くぞ」


蓮さんがあたしに手を差し出す。あたしはその手に自分の手を重ねた。


出会ったあの日みたいに…。やっぱり冷たくて、それで…すごく、優しい手だった。