「………すごい熱ね…。夢月ちゃん…辛いでしょうに…」


誰かの声が聞こえた。それに合わせてくる、少しずつ意識が浮上する。


あれ……誰だろう。


「…今日いきなりだ」

「…そう……」


博美さん、何も言わない。あたしが、言わないでって言ったから…。


「…風邪じゃないのか…?」


「…それは………」


言いよどむ博美さんの腕を、蓮さんは掴んだ。


「何か、知ってんだな」

「蓮、前に言ったはず。あんたにしか、夢月ちゃんの心は変えられないのよ」


博美さん……。
それは、あたしの気持ちだろうか。


あたしは、あたしでさえ自分の心が分からない。





2人とも、あたしが起きてる事に気づいてないみたい。



それにしても、気持ち悪い…頭が割れるように痛い…。なんでか体中がギシギシ痛む。


これ以上具合が悪そうな所を見せまいと頑張ってたけど……。
もう……限界だ……。



何度かこういうのはあった。その度に我慢して…。


体がボロボロだ。


あたしは胸をギュッと抑えた。少しでもこの痛みが…和らぎますようにと…。