冬の夜空に咲いた噓。8



「また…」と、
アルムはため息をついた。



「ルイ、ミルクティー冷めちゃうよ。」
「ああ、ごめんよ。飲むの忘れてた」



厨房にいたルイは
紙を散乱させ、手には万年筆を握り締めていた。



「なにしてたの?」
「試作品考えてんの。旦那様たちの
結婚記念日近いだろ?」



「へー。そーなんだ」

「ああ、そうか。アルムは去年来たばっかりだから結婚記念会のこと知らないよね。何かいいアイデアとかないかな?」



「アイデア?」
「アルムは好きな人とかいるの?」


「アルムの好きな人…」
「そう。好きな人」