会議室がざわめいた。


「演舞は無理だろ。時間がない」

「そういうことは、事前に相談してよっ」


うちの先生まで反対する。



『演舞』は、七大会前まで行われていた遊戯種目だ。


全校生徒をあげて取り組む名物行事で、

審査員にOBの舞台芸術家やダンサーを招き、得点の配分も高かった。



けれど、準備にかなりの時間がかかり、

毎年壮麗になる一方になって、とうとう廃止された。



そうなると、どうしても体力面で劣る混合チームが不利になり、

この六連敗につながっている。



「全校ではなく、主将と副将の対決にすれば問題ないと思います」

「そんな時間はない」

大宮が吐き捨てた。


教頭が言った。

「対決って言うけどね、これは本来、交流イベントなんだよ?」


私は思わず笑ってしまった。


みんなが、私を見た。

私は大宮だけを見据えた。


「交流する気なんかないでしょ?」


大宮が黙って見返してくる。


「闘いましょうよ」



大宮の目付きが変わった。


檻の中から、ゆっくりと虎が出てくるように。


「望むところだ」