少女は紫陽花色の雫を拾う

「あ、これ、美味しいわ。」

プハッと息を吐く。

その背後で、御手洗篤郎が、フェンスに気怠げにもたれかかる。

カシャンと、軽い金属音がした。

「おい、夏川杏子。一つ、聞いてもいいか?」

「止めてよ。どうせ、あんたみたく、辛気臭くて、退屈な話でしょう?」

彼の瞳に映る黒いモノから目を逸らし、私は、クシャリと軽く笑ってみせる。

「言っとくけれど、こっから、飛び降りても死なないわよ?私、誰かさんのせいで、一度、こっから落ちたことがあるの。」