「何か視えたのか?」

冬山が、神妙な面持ちで、私の顔を覗き込む。

「いいえ、何も。やっぱり、私の能力値が低かったみたいね。」

私は、少し悔しげに、笑ってみせた。

「でも、あの弁当を食べるなんて、御手洗篤郎のチャラさも舐めたもんじゃないわね。」

「バケモンだよ、本当。」

冬山の呟くような声が、初夏の屋上で響いた。

「ね、冬山。花鈴さんの遺留品、もう一度、見せてくれない?」