十数分後に出来上がったのは、粘土細工に幼い子が一生懸命にペンキを塗りたくったようなブツだった。

つまり、お義理にも、食べ物とは言えないような弁当だったということだ。

「ま、御手洗篤郎は、かなりの阿保だし、ラブレター付きの弁当なら、尻尾振って食べてくれるはずだわ。」

手をパチンと合わせ、現実逃避に走った私を、冬山は、無理やり引きずり戻す。

「本気で言ってる?」

「んなワケ無いでしょう?」

「で、どうすんだ?」

「ま、万が一の確率に、賭けてみるしかないわね。」

私は、冬山に肩をすくめてみせた。