少女は紫陽花色の雫を拾う


翌日。

私達は、作戦会議のために、早朝から部室に集まっていた。

「夏川、おまえを信じた俺が、馬鹿だったよ!」

冬山は、弁当を一目見るなり、私に近所迷惑に値するほどの罵声を浴びせた。

そして、その足は、自然とゴミ箱へ進められた。

私は、華麗なる美脚さばきで、その足を攘う。

瞬間的な重心のズレに、冬山の身体が傾いた。

同時に、冬山の手を離れた弁当が、宙に舞い上がる。

速度ゼロで一瞬宙に留まった弁当。

それは、重力に従い、自然落下を始める。

「あっぶな〜い!」

私は、両脚を投げ出し、空飛ぶ弁当に、これでもかというくらいに、手を伸ばした。

そして、ズズッという摩擦音と共に、ミラクルキャッチを決めたのだった。

もし、ここが甲子園球場だったら、私は、大歓声に迎えられていることだろう。

その隣で、胸を強打した冬山が、痛みに悶えている。

私は、冬山に親指を勢いよく下に向けた。

「ざまぁ!このお弁当を作るために、私がどんだけ早起きしたと思ってるの?廃棄処分なんて絶対に許さないわ。」

「どれだけ早起きしようが、結果が伴わなきゃ、意味ねぇんだよ!」

冬山が、悔しそうに私を睨みつける。

その姿に〝負け犬の遠吠え〟という言葉が、脳裡を掠めた。