少女は紫陽花色の雫を拾う

———ヒタッ…
————ヒタッ…

微かな足音が近づいてくる。

少しすると私の前で音はピタリと止んだ。

誰だろう。

〝電波女(私)〟のせいで、絶滅したとも囁かれた茶道部の入部希望者かしら。

物好きもいるものね。

不思議に思っていると耳元に低い男の声がふってきた。

「おい、起きろよ。茶道部を壊滅させたって噂の自称超能力者の電波女。」

そいつは、ゲシゲシと私を踏みつけた。

これは、暴行罪でお縄になってもおかしくないわね。

「なによ、最低野郎?絶滅危惧種な入部希望者じゃないでしょ?」

私は、目をつむったまま、不機嫌さを少し滲ませた声で返事した。

「本当に超能力なんてもの持ってんなら、俺の依頼を受けてくれないか?」

「ご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください…」

私は、テレビのコマーシャルの真似事をブツブツ呟く。