少女は紫陽花色の雫を拾う

手足をばたつかせてみるが、重力には、逆らうことができないらしい。

視界は、ビュンビュン移り変わっていく。

私の肌は、恐怖と重力加速度を直接感じとっていた。

「重力加速度を肌で感じるぅぅう」

「お前、そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ。」

冬山が怒鳴る。

「よし、あの木、樹齢推定六十年のあの木に掴まろう。」

私は、前方に迫る細い木の枝を指差す。

その樹が〝樹齢六十年〟ではなく、その細い枝は、私達が掴めばものの数秒で折れる事は、明らかだった。

しかし、私が恐怖を断ち切るために〝希望と期待二百倍増フィルター〟をかけて推定したのだ。

「え?あれか?あれは、樹齢五年のオリーブだぞ!確実に折れるぞ?」

冬山がゴチャゴチャと文句を言う。

「黙って従え、無能野郎!他に方法があんのか?この野郎!」

私の鬼気迫る心の叫びに恐れをなしたのか、冬山は、私の作戦に素直に頷いた。

「…了解」