少女は紫陽花色の雫を拾う

フェンスを越えた私達は、約二十五センチほどの幅しかない足場でフェンスに掴まりながら、なんとか足をふんばっていた。

足元に広がるミニチュア化された校庭が、地上との距離を明確に表している。

落ちたら、死んじゃうだろうな。

榎本麻里子は、そんな私達を軽く刃物でつつく。

「じゃ、落ちてくれる?私、極力、血のようにグロいものは、見たくないの。」

「あの、飛び降りの方がグロいと思いますよ?脳みそ内臓ぐっちゃぐちゃで」

私の必死の抵抗に冷たい視線を投げ、榎本麻里子は、ため息をつく。

「別に死体の処理は、警察の役目でしょう。関係ないわ。さ、無駄な抵抗は、止めてさっさと落ちてくださる?」

首筋にヒヤリとした冷たい感触が走る。

ビクリと肩が震え、身体が前のめりになった。

「ヤバ…」

思わずそうこぼした時、両足が地から離れるのを感じた。

「夏川っ!」

冬山が私の手首を掴む。

そして、私と冬山は、仲良く自由落下を体験することとなった。