少女は紫陽花色の雫を拾う

「夏川杏子さん、俺も実は、超能力者なんだよね〜。〝記憶を操って心を操作する〟能力ってのが俺の能力。これで、榎本麻里子を思うままに操ったんだよ。」

——超能力が自分だけに与えられた力とか思わないほうがいいよ。

あの時聞いた言葉が脳内でシンクロする。

「でも、俺は、慈悲深い人間だからね、榎本麻里子の花鈴の自殺に関係する記憶は、消してやったよ。俺って、優しくね?彼女に罪は、ないし、俺にも、都合が良いからね。」

御手洗篤郎、あんたの思い違いも、いいところだわ。

榎本麻里子の時間は、冬山花鈴の自殺から、止まったままなのよ?

彼女は、精神を自らズタズタに引き裂き続けているのが、分からないの?

あんたに、分かるわけないわよね?

あんた、イカれてんのよ!狂ってる!

〝恐怖〟ではなく〝怒り〟によって、拳は震え、私の息は荒くなっていく。

「悪人は、ただ一人だけ。冬山花鈴だけなんだよ。」

御手洗篤郎は、宙に両手を広げて、焦点の合わない目をきょときょと宙に彷徨わせながら、下品な笑い声をあげ続けている。