私は、混沌としたグラスの底から噴き出す泡をじっと見つめる。

「それ、美味いの?」

冬山が私の〝夏川杏子特製ファミレスごちゃ混ぜジュース〟にちらりと視線を送り、眉をひそめる。

そんな冬山を横目に、私は、平然として言う。

「美味しいよ。好きなものを好きなだけ詰め込んだ私だけの特別なジュースのこの色も綺麗だよね。」

「お前、美術の成績1だろ?この色を綺麗と表現するなんて、目が腐ってんじゃないのか?眼科行け。」

冬山が非難の目で私を見てくる。

「冬山に私の趣味にとやかく言われたくないんですけど。この美味しさがわからないから理解出来ないのかな?このジュース、作ってあげよっか?」

私が淡々と言うと、冬山が恐れの表情を浮かべて私のありがたい申し出を断る。

「お前の趣味は、理解した。作んなくていいから。でも、小学生の男子とドリンクバーの前ではしゃぐのは止めろよ。」

私は、素直に頷いた。

私自身、あの行動には、清楚さが欠けていたと反省していたからだ。