少女は紫陽花色の雫を拾う

冬山が大きくため息を吐く。

「オーケー。俺は、関係ない。つまり、話すか話さないかは、お前が決めることだし、もう口出ししない。」

冬山の言葉に、どうしてか、焦りのようなものを覚えた私は、震える唇を開いた。

「い、一年半前の夏、私がこの町に引っ越してきたんだけどね…」

私は、冬山に中学二年生の夏休みの話をした。

冬山は、私の話に首を傾げた。

「うん?正直言うと、何でお前がそんな昔の失恋をここまで引きずって生きてきているかわかんねぇな。」

冬山は、やはり〝お悩み相談〟に全く向いてない人なのだ、と少し呆れた。

慰めもしないし、理解できないとズバズバと私のガラスのハート直球の質問をしてくるのだ。

しかし、その正直な態度が〝答えを与えてくれるのではないか〟と無性に感じさせた。

「私ね、その後、春子とも平野くんとも上手く話せなくなっちゃったんだよね。何か、ギクシャクしてね。」

無言で耳を傾ける冬山に、私は、落ち着いて事実だけを伝えようと心がける。

「で、春子がね、死んじゃった。交通事故で死んじゃったの。急に態度がよそよそしくなった私に、お揃いのキーホルダーを買いに行く途中だったんだって。」