少女は紫陽花色の雫を拾う


「ったく、迷惑な女だな。」

吐き捨てるような言葉が保健室のベッドに横たわった私にかかる。

「病人に対して酷い言葉。」

私の呟きに過敏に反応した冬山が、反論する。

「病人じゃねぇだろうが!意識を失っただけだろ。」

私は、布団を頭まで被って黙りを決め込む。

冬山は、一人で続ける。

「あのさぁ、夏川はさぁ、何考えてんの?一年半前の事をとやかく言うつもりはねぇけど、最近の頭痛がそのせいなら…」

冬山の言葉を素早く遮る。

「この頭痛の原因は、正直言って、わかんないわ!けど、私の過去は関係ないのよ……たぶん。」

一年半前のことを無理に思い出す必要は、ないでしょう?

「あ、そう。俺が言いたいのは、お前が無理してるだろってこと。」

「してないわよ!」

布団の中から、ムキになって声を張る。

冬山は、冷静に私に語りかけようとしているようだ。

「してるよ。いつも軽口ばっかりで笑ってるけどさ、心の中では、何考えてんの?」

「あんたには、関係ない。あんたは、依頼者よ。これ以上、踏み込んでこないで。」

私は、やはり冬山を突き放したのだった