少女は紫陽花色の雫を拾う


その日の放課後、冬山は、女子生徒をナンパ中だった御手洗篤郎と見られる人物を引きずりながら、屋上に現れた。

「あぁ、俺、二年の御手洗篤郎。よろしくね、夏川さん♡」

背中の汚れた制服でウインクする御手洗篤郎は、本当にチャラい男だった。

冬山が、御手洗の襟首に掴みかかる。

確かにこんなのが完璧な花鈴さんの彼氏だったなんて、ショックだろうな。

「聞きたいことは、わかるよな?冬山花鈴の自殺について、知ってることを話せ。」

「えっと、冬山くん、先輩に対する態度が…」

御手洗篤郎は、悲しそうに何故か私の方を見つめる。

「話せ」

冬山の追及の手は、弱まらない。

御手洗篤郎は、大きなため息を吐き、口を開いた。

「でも、花鈴って自殺だったはずだが……?ん、まさか俺を疑ってんのか?」

「疑わしいことでもしたんですか?」

冬山の鋭い追及に、私もそうだそうだ、と乗っかる。

そして、私は、天使の微笑みを浮かべながら、言った。

「っていうか、そのまさか…ってセリフ推理小説だと〝隠していることがあるフラグ〟なんですよ〜。」

先輩は、青筋を浮かべた顔を引きつらせながら反論する。

「隠し事なんて、何もねぇよ!っていうか、お前らのコンビ、ウザいな?」

「「褒め言葉ですか?」」

私の声は、冬山の低音の声と重なった。

思わず、顔を見合わせる。

「いや、違うだろ、どう考えても!」

御手洗篤郎の叫び声が屋上にこだました。