少女は紫陽花色の雫を拾う

「じゃあ、この写真の人は、誰?」

拗ねる冬山に嫌気がさした私は、話を戻した。

冬山は、そっぽを向いてボソボソしゃべる。

「次に花鈴の話を聞く人。名前は、写真の裏に書いておいた。」

写真を裏返すと、冬山の第一印象が自動上書きされるほどに、形の整った細い字が記されていた。

〝御手洗 篤郎〟

「おてあら…」

「高校一年生にもなってお馬鹿で寒いギャグを吹っ飛ばさないように。彼の名前は、〝みたらいあつろう〟だ。」

冬山が目を細め、軽蔑の眼差しで見てくる。

私は、素っ気なく返した。

「女の子の失敗は優しく正すのが人間的にできた人よ。で、花鈴さんとの関係は?」

「彼氏。確か、花鈴の自殺の日まで彼氏だったやつ。俺は、会ったことがねぇけどな」