少女は紫陽花色の雫を拾う


「で?どうなの?」

冬山は、茶道部の部室に踏み入れるや否や、切りだした。

私は、榎本先輩の心に見えたモノをそのまま言葉にして冬山に話した。

「意味がよくわからないな。」

私もそれに対しては、首を縦に激しくふって同意を示したいくらいだった。

原因について考えを巡らせる。

「こんなに人の心が理解出来ないなんてね。最近、力を使ってなかったから、鈍ったのかな。」

私の言葉に冬山は、即座に反論してきた。

「最近使ってないって、昨日俺の心に土足で踏み込んできたのは、どこのどいつだよ!忘れたのか?」

「あぁ、実はね、昨日のあれは、約一年半ぶりだったんだよね。」

どうして、あの時、蓋をし続けてきたきた力を人目に晒したのか、自分でもよくわからない。

「なんで?人の心が覗けるなんて、かなり便利じゃね?」

私もそう思ってたんだよ。

色濃く残る約一年半前の中二の夏休み、そして、榎本麻里子の心中を思い出し、乾いた笑いを漏らした。

「知らぬが花って事もあるのよ。」