榎本麻里子は、心に深い闇を抱えながらも、周囲の人々には、もう平気だ、と笑顔で振る舞い続ける。
そのあまりに自然な笑顔の翳りに、今まで、誰一人として気づけなかった。
榎本麻里子は、自分を憎み、悔み、たった一人で、闘い続けているのだ。
思わず、言葉が漏れる。
「榎本先輩、大丈夫ですか?」
「え?」
榎本麻里子は、〝何を言っているのか理解できない〟と、綺麗に整った顔を、少しだけ歪めて見せた。
私は、顔をふせ、咄嗟に思いついた言い訳をモゴモゴと続ける。
「いえ、何でもないです。冬山花鈴先輩が亡くなったから、まだ、一ヶ月しか経っていないから……」
「あぁ、そうよね。でもね、私、平気だからね。忙しい高校生活に、気を紛らわせているといった感じなんだけど…」
平気なんて、嘘ですよね、榎本先輩……
榎本麻里子は、花鈴さんの自殺に一ヶ月の間ずっと自分を追い詰め続けているようだった。
まるで、自らの首筋に、鋭い刃を突き立て続けているかのように。
その心中を知ってしまった私の視界は、深い悲しみで滲み始めていた。
「もう、昼休み終わっちゃいますね。僕ら、もう行きます。」
冬山が私を空き教室から連れ出そうと腕を引っ掴み、無理やり引きずる。
そんな私達に背後から小さく声がかかった。
「花鈴のこと、調べてるんだったら、私に分かったことがあれば、その都度、教えてくれる?…お願い。」
榎本麻里子の本音を含ませた唯一のその言葉が、心の奥にへばりついた。
そのあまりに自然な笑顔の翳りに、今まで、誰一人として気づけなかった。
榎本麻里子は、自分を憎み、悔み、たった一人で、闘い続けているのだ。
思わず、言葉が漏れる。
「榎本先輩、大丈夫ですか?」
「え?」
榎本麻里子は、〝何を言っているのか理解できない〟と、綺麗に整った顔を、少しだけ歪めて見せた。
私は、顔をふせ、咄嗟に思いついた言い訳をモゴモゴと続ける。
「いえ、何でもないです。冬山花鈴先輩が亡くなったから、まだ、一ヶ月しか経っていないから……」
「あぁ、そうよね。でもね、私、平気だからね。忙しい高校生活に、気を紛らわせているといった感じなんだけど…」
平気なんて、嘘ですよね、榎本先輩……
榎本麻里子は、花鈴さんの自殺に一ヶ月の間ずっと自分を追い詰め続けているようだった。
まるで、自らの首筋に、鋭い刃を突き立て続けているかのように。
その心中を知ってしまった私の視界は、深い悲しみで滲み始めていた。
「もう、昼休み終わっちゃいますね。僕ら、もう行きます。」
冬山が私を空き教室から連れ出そうと腕を引っ掴み、無理やり引きずる。
そんな私達に背後から小さく声がかかった。
「花鈴のこと、調べてるんだったら、私に分かったことがあれば、その都度、教えてくれる?…お願い。」
榎本麻里子の本音を含ませた唯一のその言葉が、心の奥にへばりついた。

