少女は紫陽花色の雫を拾う

「…で、最初に榎本麻里子のところへ行くことにした。」

彼の姉である花鈴さんについて、拳に汗を握りしめて熱く語っていた冬山の口が、やっとそこで落ち着いた。

榎本麻里子という女性は、花鈴さんの親友とも呼べるような人だったらしい。

冬山の話の最初に顔を出した〝花鈴さんの好きだった食べ物ランキング〟とどんな関係があるかは疑問だった。

しかし、馬耳東風の調子で右耳から左耳へと、話を横流ししていた私は、冬山の脈路のない話を責めたりするようなことはしなかった。

冬山の話から分かったことは、冬山がかなり重症と見られる〝シスコン男〟だということだ。

私は、曖昧に頷くと冬山と一緒にランチルームを出て、二年の教室の並ぶ本館のほうへ向かった。

榎本麻里子との接触を図るためである。