少女は紫陽花色の雫を拾う

「そうなんだ…」

しゃくり上げそうになる喉を抑える。

平野くんは、涙目の私に気づいたのか、一言謝ってから言った。

「夏祭り、行こうか。」

平野くんは、いつもより優しく笑った。

中学二年生の暑さが少し和らいだ夕方に、私は、初恋を経験した。

しかし、私は、あまりにも幼すぎた。

私は、迷うことなく、私だけに許された力に頼ってしまったのだ。

人差し指をゆっくりと耳元に近づける。

息苦しさに、胸に手をやる。

この息苦しさが〝罪悪感〟と呼ばれることを、私は、最近知った。

〝平野くんが好きなのは、春子……〟

「夏川、どうしたの?宇宙人と交信中?」

目の前で私を指差して笑う平野くんの声が全く耳に入らなかった。

初恋と失恋を同時に味わった日、私は、結局夏祭りに行かなかった。

翌日の朝、目覚めた私の瞳は、赤く腫れ上がっていた。