少女は紫陽花色の雫を拾う

先生に指示された席は、窓側の一番後ろ。

あまりに暑すぎる席だった。

「ねぇ、夏川杏子さん。私、櫻井 春子(さくらいはるこ)。杏子ちゃんって呼んでもいい?」

一つ前の席の少女の笑顔が弾ける。

「もちろんよ、春子!」

春子は、綺麗に結いあげられたダークブラウンのポニーテールを揺らす愛らしい少女だった。

隣の席の平野秋人(ひらのあきひと)くんは、焦げ茶色に焼けた肌の目立つサッカー少年だった。

この頃の私は、暖かすぎる二人とは対称的な物静かな少女だった。

〝人の心が読めること〟を、特別な力なのだと認識し始めたばかりのあまりに幼すぎる少女だった。